2014年8月3日日曜日

続々起業するベトナムのヲタたち 日本ではなぜ起業は一世一代の大決心みたいな扱いなのか

おまえいつまでベトナムにいるんだよと言われつづけて10日目、今日やっとカンボジアへ帰るわけですが、この間、ベトナム(ホーチミン市だけですが)のヲタシーンの数々にふれる貴重な機会を得て、大変感謝しております。
どうもありがとうございます。


この間、日本ではアニメ海賊版サイト徹底取締みたいなニュースが出ており、これを受けて今後の世界の日本ヲタシーンがどうこれに影響されるか、また、日本の創り手の収益性に果たしてプラスマイナスいずれに影響があるのか、たいへん関心も持っています。


それはそれとして、簡単にレポートしたいとおもいます。

Otacool Cafe



ベンタン市場近くのOtacool Cafeのオーナーさんのお部屋。
写真におさまりきれませんが、本当はこの3倍くらいの点数のフィギュアがあります。
好きがこうじてカフェを起業してしまったという感じを受けます。

カフェはベトナム人の若者たちで大変にぎやかに繁盛しています。
グッズ販売も好調のようです。
グッズは日本から仕入れたものと、現地で作ったものが混在しています。

フィギュアなどは、日本クオリティのものを現地で作ることは技術的に難しいようです。
このあたりに日本の創り手のビジネス的な勝機があるのではないかと感じます。

THE OTHER PERSON








植民地時代のアパートの上階にあるTHE OTHER PERSON(BETSU NO HITO)の屋根裏のジブリ部屋です。

ここは、ベトナムの学生たちが手作りで内装をこしらえて開業したカフェです。
雰囲気としては、今はなき青山同潤会アパートをもっと古色蒼然とした感じのアパートの、非常に年季の入った階段をえんえん登っていくと、突如としてメルヘンな空間が現れます。
あまりに隠れ家すぎる立地に唖然としましたが、ベトナム人の若者たちでいつも満席状態とのことです。








同じくTHE OTHER PERSONのメルヘン部屋です。

マカロンはたぶん紙ねんど製です。
クラビノーバの黒鍵がピンクなのはカッティングシートで1つ1つ丁寧に作っています。
愛です。

m&m'sは大きさ比較のために私が持ち込んだ私物です。

どちらの部屋も、椅子はなく、床のカーペットに座ります。

SHIRU Cafe



ガンダムオタクの集いの場として作られたSHIRU Cafeです。

ガンプラが所狭しと置かれています。

僕らが入った時も、1体製作途中であり、塗装したたくさんの細かい部品をフローリングの上で乾かしている、そのすぐ横が僕らの席でした。
椅子はなく、フローリングに座ります。

ここはカフェというより、ヲタの集いの場としての属性の重きを置いている感じで、そのためか、ほとんど、単にガノタのひとんちにおじゃましたという感じでした。
内装非常にきれいに作り込んであるのですが、そのひとんち感があったため、写真撮りまくるのがはばかられました。
トイレには、「XX学校 10-A……」と胸に書かれた男子の制服が干されていました。

屋外の、非常に狭い螺旋階段を登ってたどりつくカフェなのですが、これって要は、この学生さんの自室なんじゃないかとおもいます。
単に自分の自室だったのを、ガンプラが好きという理由で、カフェにしてしまったという感じです。
そして学校でチラシ配ったらお客さんいっぱい来たそうです。

なんていうか、非常にイージーです。通常の日本人の感覚からすれば。

ホーチミン市は古来商人の街で、起業熱が伝統的に高いところですが、その血は若い世代にもしっかり受け継がれているようです。

逆に、日本の高校生は、どうしていきなり自室でカフェを開業したりはしないのだろう、と考えさせられました。
もちろん食品衛生法やら登記やらあるとおもうんですが、それ言ったらベトナムだって、それなりに規制はあります。
ベトナムに進出してる企業の方に聞いてみてください。
どっちかといえば政府の指導が非常に重たいという印象があるのがベトナムです。
スペック的な起業環境ということでいえば、日本のほうが原則的に自由なはず。

結局、起業するかしないかは、気合なんですかね…。
あるいは、子供のころからのすりこみかもしれませんね。
僕も子供のころ、起業はなんだかすごいことだとおもっちゃってましたからね。

BOND Cafe & Shop








日本ヲタグッズ輸入販売&制作&カフェ「BOND Cafe & Shop」です。

料理は、Com sot bo bamですが、これに好きなヲタTシャツがつくというセット売りです。
175000ドンです(VIP会員は10%オフ)

フィギュアもいっぱい売ってました。こういうのが飛ぶようにお迎えされていくそうです(140~180$)。
カネ持ってるヲタは持ってるのである。

萌えな概観が、ベトナムの街並みに実によくマッチしております (?)。
Khu pho van hoaというのはベトナムの裏通りの入り口によく政府が設けている門で、「文化地区」というような意味です。むかしホーチミン市では、注射器で薬物を注射してラリる悪習が非常に蔓延しており、とくにこのような裏通りにおいて使用済み注射器が路上に落ちているような状態であったことから、その重点取締りという意味合いがあると聞いています。そんな地区も今ではすっかりヲタの拠点です。

べと☆もえ




ここまで紹介したお店はすべて日本人無関与で創業されています。
これに対して「べと☆もえ」は、日本人が関与して創業されたお店です(これまでの詳しい経緯は聞いたけどなんだか複雑そうなのであいまいな表現でごまかす)。

昼と夜の1回ずつ行きました。
昼はカフェ(18時まで)、夜は同じ場所でバーとなっています(19時から24時まで)
昼はメイドさんがいます。「お帰りなさいませご主人様」「行ってらっしゃいませご主人様」もちゃんと言ってくれますし、テーブルから去るときにいちいちピョコンとおじぎをしてくれるのも可愛いです。

写真は昼の抹茶です。

ベトナムの若者たちが楽しそうにカードゲームをしており、メイドさんがそのゲームマスターをしていました。
メイドさんから、あなたも参加しますかと聞かれ、ルールを教わり、参加しました。

まとめ


今回回らせていただいてみて非常に感じたのは、ベトナムの若いオタクの皆さんの起業パワーと、ベトナムの濃いヲタたちの購買力です。
などとどうしてもビジネス的視点で見てしまう汚れた自分にちょっぴり嫌気もさしたりします。
彼らは本当に純粋に、アニメをはじめとする日本のコンテンツを楽しんでいるように見えます。
その副産物としてこうしたビジネスやエコシステムが生じていることを忘れてはならないとおもいます。

関連して、最近ネットに出たグリーの田中社長のインタビューを想起せずにはいられませんでした。
田中社長は、自分のクレカのキャッシングでサーバを買いまくって起業されたそうです。
インターネットで儲かるとは、現場でインターネットのすごさに魅了された人々ですら当時考えていなかった時代、そのすごさが楽しくてあれこれ夢中でやっていたらビジネスになってしまった、という趣旨のことをおっしゃっています。
なにがなし、今のベトナムのオタクたちの起業に通ずるものがあるのではないかとおもいました。

ひるがえって逆に、日本ではいったいどうして、起業とは人生一世一代の大決断であるみたいな扱いになっているのか、不思議におもったりもするわけです。

海外出ようと言うときにも、日本では、海外起業でなく、なぜか海外「就職」になってしまいます。

私の持論ですが、海外就職よりも、海外起業のほうがはるかに簡単です。
海外起業の最大のデメリットは、私のように現地語あやふやでも、社員たちはがんばってコミュニケートしてくれることです。俺から給料もらいたいわけですから!
海外就職のように、コミュニケーションの相手が同僚や上司だったら、現地語あやふやだったら単に見捨てられます。

海外起業のもうひとつのメリットは、自分が日本で培った専門性を真に活かし、自分の強みに特化して働くことができることです。
海外就職の場合は、私も経験ありますが、自分の専門性と就職先の事業が一致することは難しい場面も多く、自分の強みが活きない仕事であっても、命じられればしなければなりません。
海外に出れば、日本にいた頃に比べ、当初、自分の発揮できるパワーは数割減となります。そのことも考えれば、自分の強みをどまんなかで発揮できる分野で働けることは、海外では特に重要です。
これは、日本で培った専門性がないひとであっても、自分の適性にあった仕事を海外でしたほうがいいという意味において、同様です。

僕らは彼らに見習って、起業をもっとカジュアルにとらえてもいいとおもいました。
すでにカンボジアで起業している僕ではありますが、最近ちょっと殻にこもっていた自分を反省したりもしました。

プノンペン行きの時間が迫っているため最後のほう駆け足になってしまいました。
それぞれのお店の場所などについては、fbで僕それぞれ行ったときチェックインしてますので、そこからたどってみてください。

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