カンボジアのアニメファンたちも例外ではない。
下図のサイト群が日本政府によって閉鎖されるという情報がfacebook上で急速に拡散しており、多くのコメントがついている。
コメントのほとんどは日本政府の決定を悲しむものだ。
フィリピンではアニメファン数千人が日本大使館前で抗議を行なった。[2014/8/2 22:24 追記]ジョークサイトであるとのご指摘をコメントでいただきました。
もちろん、法的には知的所有権(著作権)の保護ということがある。
しかし現実には、とくに東南アジアをはじめとする途上国のアニメファンはそんなにお金を持っていないので、こうしたサイトを閉鎖して「公式」サイトに一本化されてしまえば、その対価を払う資力はない。
大好きなアニメへのアクセスを遮断されてしまうのだ。
その恨みは当然日本政府へ向かう。
そして彼らにとっては幸いなことに、現実的にはこんにち、データはどのような防衛手段を取っても必ず複製されてしまう。
.torrentを集めたWebサイトの閉鎖を実現したところで、.torrentそのものをもP2Pで共有すればいいだけであり、ほぼ意味はない。
結局アニメの無料共有は続くのであり、そして残るのは、アニメファンから日本政府への恨みだけである。
日本政府は、口ではクールジャパンなどと言って日本のコンテンツを世界に広めようと言いながら、実際にやっていることは、世界のアニメファンの99%からアニメへのアクセスを奪い、新たなアニメファンが生まれる芽をもつんでいることにほかならない体となってしまうのだ。
このことを音楽業界はこの10年~15年間ですでに学びきっている。
『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』には、このような新状況に対応したミュージシャンたちの生計の立て方が紹介されている。
それは、音楽CDで儲けるのでなく、むしろ音楽CDはどんどん複製してもらって、できるだけ多くのひとに自分らの作品にどんどん触れてもらって、ファンが増えた状態で、満を持してコンサートを開き、そのチケット収入やグッズ収入で食っていくというものだ。
日本でも現在では、AKB48をはじめ多くのアーティストがこの方法を採用している。
AKB48はYouTube上に公式チャンネルを作り、MVを無料で拡散している。
そうして増えたファンをコンサートへ呼び込み、そのチケット代やグッズ代(握手権・投票権の同梱されたCD等を含む)で稼ぐしくみだ。
知識人も同様だ。
彼らが本を書くのは、その印税で食っていこうとしているのではない。
それによって得た知名度をもとに、講演に呼ばれたり、コンサルやコーチをやったりして、その対価を釣り上げるために、本を手段として名声を高めるのだ。
その証拠に、発売後しばらくしたら、その本の内容をまるごと無償でPDF形式などで自分のサイトに掲載していたりする。
ほとんどすべてのネット上のサービスもそうだ。
Googleはじめとして多くのサイトは、ライトなユーザーからはカネを取らない。
無料で人を寄せ集めておいて、ファンになってもらい、コアなユーザーになった客だけから、カネを取るのだ。
ネットゲームもそうだ。
フリーミアムというわけだ。
彼らがこれをできるのは、物でなくサービスを売っているからである。
サービスはただコピーすればよい。
ユーザーが一人増えたら、電子的なテンプレート(技術的には、ディスクファイルディレクトリや、データベースレコード)をそのユーザー用に1個コピーすることによって、そのユーザー用の仮想空間を作りさえすればよいのだ。
物を1個増やすことに比べ、あまりコストがかからない。
これは音楽やアニメなどのコンテンツにもあてはまることだ。
コストがかかっているのは創作の部分であって、複製にかかるコストはそれに比べてほぼゼロである。
複製からカネを取ろうとするのは、媒体がレコードやテープやディスクしかなかった時代における、本来中間搾取にほかならないのである。
Googleにあなたお金払ってますか?
あなたGoogle使ってるでしょう?
Google使いながらGoogleにお金払ってないひとには、無償でアニメが見れないといって悲しんでいる海外アニメファンたちをわらう資格はない。
このようなやり方をなぜアニメ業界が採ることができないのか。
今回の決定を下した日本政府の役人や、それに影響を与えた既得権を持つ人々は、音楽業界のたどった道に何も学ばなかったのか。
現代の知識人たちの生き方に何も学んでいないのか。
インターネットにさわったことがないのか。
あいかわらずの20世紀脳なのか。
なんという損失であろうか。
余談だが、日本政府がコンテンツの一本化管理を図るこの有料「公式」サイトには、Tokyo Otaku Modeというネット通販業者がからんでいるらしい。
この会社は今年3月、絵師100人展というものをベトナムで開催したが、10万ドン(約5ドル)というバカ高い入場料で、内容はただ絵が展示されているだけで、ほぼ入場者ゼロで大コケしたという。
この有料「公式」サイトは、すでに開設されているはずだが、私が現在滞在しているホーチミン市から、当地時間2014年8月1日午前8:50現在、なぜかアクセスできない。
日本政府の今回の世紀の愚策により、クールジャパンは滅び、海外アニメ熱は一部マニアを除き急速に冷え込み、関連ビジネスは蹉跌するだろう。
その空白を韓流コンテンツが埋めるだろう。
さようならクールジャパン
さようならジャパニメーション
おまえ、ばかじゃないの(CV:大泉洋)
返信削除>『Googleにあなたお金払ってますか?』 有料サービスには払ってますがなにか。
返信削除つまり「公式サイト」が今後、現地のアニメファンに順応した対応を上手くとっていければ万事OKということですよね?
返信削除世界のアニメファンにとっては、日本のサイトでも行っているような「最新話一週間無料公開」や「期間限定全話公開」などでは物足りないのでしょうか?
> 世界のアニメファンにとっては、日本のサイトでも行っているような「最新話一週間無料公開」や「期間限定全話公開」などでは物足りないのでしょうか?
削除足りないと思いますね。
ついでに多言語対応すらしてない公式サイトが現地に順応した対応を上手くとれるとは思えませんね・・・。
コンテンツ業界は、いい加減、今までの「モノを売る」的なアナログな発想を捨てないと、業界の衰退どころの話じゃなくなると思うんですけどね・・・。
金払わないやつにクールジャパンとか言われてもなw
返信削除そんなクールジャパン別にいらないよ。日本国は慈善団体じゃないんで。
コンテンツの無償公開の例として挙げられている、AKBや知識人の本についても、無償公開の仕組みはコンテンツホルダーのコントロール下に置けるようにしているように見えます。
返信削除アニメの「公式」サイトを立ち上げるにあたって、まずコントロール外にある海賊版サイトを排除しようとする・釘を刺すのは当然のことだと思うのですが。
案外こういうの大事だと思う。
返信削除自分も今では月に何万円も漫画買い込んでいるけど、ガキの頃は立ち読みだけで、まったく買わなかった。アニメのようなコンテンツは、価値観の古い大人に布教するのは困難なのだから、金持ってない若者に布教するしかない。今買えないようなやつらに見せても無駄というのは、ちょっと近視眼的。
それに、海外のものを翻訳してまで見るようなガチオタはごく少数で、友達からの紹介でなんとなく見始めるようなライト層がほとんどなのはどこいっても変わらないだろうから、アクセスが悪くなれば、あっという間に視聴者減ると思う。
単にサイト規制して、統一価格で世界配信していきますよーという方針だとしたらあまりに無策に等しいかと。ポテンシャルのある商品を、どういう形で認知度を高め、どのポイントでマネタイズするか、という議論がどこまでなされているのか疑問に思います。古いビジネスモデルから脱却できていないんでしょうね。撲滅の先に政府が用意した「Manga-Anime here」しか残らないんだったらもう残念過ぎます。私は今シンガポールですが、以前ベトナムにいたのでTokyo Otaku Modeさんのくだりは笑えましたww
返信削除経産省によるとこのプロジェクトは委託費3億円とのことでした。今回の施策は権利者に対価が支払われる好循環を作ることを目的としたものなのだそうです。でも好循環ができる前にエコシステムが縮小されたり破壊されないか心配です。
返信削除何を根拠に99%って言ってんの?
返信削除アニメ制作会社がブラック企業と認知され、自殺者やうつ病患者も大量に生み出してますよね。
返信削除もし全世界の視聴者やファンが、まっとうに対価を払ってくれたら、
アニメ製作などに携わるスタッフへの給与がもっと支払われ、
忙しい現場にはスタッフを増員させることができ、
つまりはスタッフに「まともな人間生活」を送ってもらえると私は考えます。
全世界が搾取をしている結果、スタッフお一人お一人がゴミクズのようにボロボロに使い捨てられ、
結果家族や大事な人までもが悲しみに暮れている。
命あってこそ。現状はその当たり前のことが軽んじられすぎだと思いますよ。
金がなければ窃盗も合法?
返信削除まるっきりどこかの半島の発言ですな
アニメだろうが漫画だろうが立派な商品ですよ
日本国内で貧乏だから万引きが許されるとでもお思いですか?
それっておかしくね?だってそこ海外じゃん
削除全面的に同意。「こいつらがいなけりゃもっと儲かったはず」はただの皮算用。複製は不可能にはならないのだからそれに対応したビジネスモデル考えるべき。ともかく、「はじめに儲ける」ことで満足するべきで、そもそもCMつきや受診料ありNHKのコンテンツは、もとをとってるはず。それでも金とりたいなら、エリア規制やめて使いもんになるポータルつくってCMつきで発信するべき。閉じた世界でおなじもんでいつまでも儲けようという家元式商売を世界でやろうというのが愚か。パクリ気にしない国の無料コンテンツに乗っ取られるチャンスを作っただけです。パブリックドメインの概念もないカスラックごのみの規制はもうやめてほしい。
返信削除アニメを無料配信しろというのは、itunesで売られてる音楽をタダにしろというようなものですね。
返信削除CMつき無料放映分はCMつきなら再生されればされるほど「もとがとれている」のであるから、問題が違う。あと、感情的に反発してるカスラック向きの理屈は、最終的には、ひとまえで鼻歌唄っても課金、にならざるをえない。
削除ネットゲームにはアイテム課金のゲームもあれば月額課金のゲーム、ハイブリッド課金のゲームもある。
返信削除それらのゲームに対して「客を楽しませたいのならすべてのゲームを無料にすべきである」などと言ったらどれほど馬鹿にされることか。
さらに言えばゲームをまるまるコピーして勝手に運営することは許されない。
そこに金銭の授受がなくてもだ。
> 発売後しばらくしたら、その本の内容をまるごと無償でPDF形式などで自分のサイトに掲載していたりする。
それは好意でやってるだけで、すべての人間が従うべきという話ではない。
そもそもアニメやゲーム、漫画などは「発売後しばらくしたら」「自分のサイトに掲載」されているのではなく「発売前から」「他人のサイトに掲載」されているわけで、比較すること自体がおかしい。
あなたは知らないだろうが、今の海賊版サイトは日本未発売、未配信の作品がなぜか翻訳された状態で閲覧できるようになっている。
逆算したらプレス時、印刷時のデータを抜き出してるとしか思えないものも多々ある。
発売後しばらくして商品の売れ行きが鈍化した作品を自己満足で掲載しているのとは訳が違う。
全く現状認識が甘いと言わざるを得ない。
とりあえずあなた、今日から1年くらい本業は全て無料にして、その経験を本か何かにまとめたり講演したりして金を稼いだらどうです?
もちろんその本は違法サイトに掲載され、講演の録音も違法に配信されますがね。
あと、突然匿名コメントを禁止するくらいなら何か反論したほうがいいんじゃないですかね。
まあ名乗れもしない雑魚なんかのコメントなんぞ聞く耳持たないってことなんでしょうけど。
皆様コメントありがとうございます。
返信削除引用先でいただいたコメントも含め、追えるかぎり、すべて目を通させていただいております。
知的所有権に反した勝手な頒布は「するべきではない」という論については、その「べき論」は当然なんですが、その禁止を技術的に実装しようとしてことごとく失敗してきた現実を見たうえで、じゃあそれでも創り手がむくわれるにはどうすればいいの、という立脚点に立って、この数年の『フリー』をはじめとする著作は書かれているわけです。私はそれらの著作で勉強していることをふまえているので、基本的な前提はそちらに譲り、多少はしょった部分があります。そういった著作を読んでこなかった方には、そこがわかりにくかったかもしれません。
海外のアニメファンのことなど顧慮する必要はない的な意見については、日本政府とも私とも意見が一致しないとおもいます。海外からも収益をあげたいよね、ということを前提とし、日本政府と私の考えが異なる点についてのみ、論じたいとおもいます。
じゃあ具体的にどうすればいいのよ、という点については、方向性は、音楽業界や知識人やネットサービスの例において示したつもりです。雑談では、AKB48などからの類推から、じゃあ声優が来て握手会やればいいよね、とか、複製しにくい公式グッズを濃いファンに売ればいいよね、という話をしましたが、業界の人間ではないので、専門家の方がこれはもっといい手を思いつくとおもいます。
残念ですがこのサイトはジョークサイトです。
削除http://thephilippinechronicle.com/2014/07/30/thousands-of-anime-fans-protest-japanese-embassy/
>Disclaimer: The Philippine Chronicle is a news and political satire web publication.
画像も日本でのアノニマス掃除オフのものです。
余談ですが
「Google使いながらGoogleにお金払ってないひとには、無償でアニメが見れないといって悲しんでいる海外アニメファンたちをわらう資格はない。」とありますが
Google利用者は広告を見ることでGoogleに対価を支払っています。
海賊版配信サイトは他人のコンテンツを丸ごと配信しつつ
広告や寄付等の収入を得て自分の懐に収めており、
権利者に何も還元されないので擁護しようがありません。
ファンによる無償活動ならまだ酌量の余地もありますが。
CrunchyRollのように当事者が合法配信に鞍替えするか、
正当な権利者による配信を用意した上で
こうした海賊サイトをつぶしていくことに何の問題もないと思います。