2014年6月25日水曜日

低い成果への報奨は、低い会社ですという社員への明確なメッセージ

社内ログを見てて思い出しましたが、かつてこの会社で私は
「1週間無事故だったら全員にボーナス」
という制度を作って実施していたことがありました。

しかし現在、この制度は廃止しています。

この制度の廃止と同時にかわりに導入し、今も実施しているのは
「事故ったらそのたびに当事者・責任者から罰金」
という制度です。

後者の罰金制度を導入する際には、あわせて責任者実績給制度を導入しました。

かつ、当時の事故率に照らしてプラマイゼロとなるよう係数を調整したので、導入直前と導入直後とでは、実績給与額はそう変わっていません。

簡単に書けば、たとえば次のように調整したということです:
ボーナス制:基本給20万円+ボーナス5万円=25万円
罰金制:基本給20万円+責任者実績給7万円-罰金2万円=25万円

つまり、実質は社員にとって一緒です。

ではなぜわざわざ、会社が一見太っ腹に見えるような「ボーナス制」から、一転、会社が悪者になるような「罰金制」へとシフトしたのでしょうか。

その最大の理由は
「無事故ということがすごいことだというメッセージを会社として社員に発信してしまっていたから」
です。

会社としては本当は
「無事故というのは当たり前のことで、逆にそれが守られないのはダメなことだ」
というメッセージを社員に発したかったにもかかわらずです。

実態は同等であっても、呼び方を変えることは大切だと思います。

創業当初、私の念頭には、巷間よくいわれる
「アジア人は誉めて育てよ」
「アジア人は叱るとやる気を無くす」
ということがあり、罰金制のようなものを導入することを躊躇したために、上記のようなボーナス制になっていました。

しかしここには「叱る」という言葉の意味に対する、私の誤った認識がありました。

「ヒト」を叱れば確かに社員は1100%辞めます。
しかし「コト」を叱れば、社員は辞めません。
罪を憎んで人を憎まず、です。

ただし、それを引きずったり蒸し返したりしないことが絶対条件です。

「罰金」のメリットは、
「これでこのひとの過ちは精算されましたよ! もうこのひとはきれいですよ」
というメッセージを自他ともに受け取ることができる点です。

かつ、社長も人間ですから、ついついうじうじと引きずったり蒸し返したりしたくなります。

しかし「罰金」をすでに取っているとおもえば、社長もスッキリできます(笑)。

もちろん、この「罰金」は、基本給には及びません。
きちんと出勤さえしていれば、何があろうと(懲戒を除き)、基本給は死守されます。
当社では実績給の算出根拠となるポイント制があり、厳密では直接的な罰金ではなく、そのポイントを控除するという制度になっています。
控除した結果ポイントがマイナスになるなら、そのひとのその月度のポイントはゼロです。

なお、もちろんこの制度改訂の場合、注意深く上記記述を見ていただけばおわかりのように、同時に、積極的に当事者・責任者にならなかった者は実質給与減となっています。これも一つの会社からのメッセージです。

「かかわる者にのみチャンスはある」ということです。

もう一つ、旧制度が発していた誤ったメッセージは
「連続して無事故であることに意義はあるが、今日無事故であることはそう意義はない」
です。

1つ事故を起こしてしまうと、どうせ無事故連続記録は破れてしまったのだからと考えることにより、事故が連続多発することが起こっていました。

その意味では、日本の工場などによくある「無事故連続記録XXX日」という掲示についても、
・いざ無事故が破れた時にはやはり逆効果になるのではないか
・連続記録を惜しむあまり、事故を隠蔽したくなる気持ちをまねくのではないか
という危惧を私はいだいています。

先日のポストで私は、会社規則の制定は何より雄弁な社員への会社からのメッセージだと述べました。評価制度の設計はその中でも特に重要な部分であり、実地にあってきめこまかなチューンナップを繰り返していくことが必要でしょう。

1 件のコメント:

  1. 最近私の会社で起きたのは、現地人スタッフによるコピーソフトウェアの無断使用です。私らのあずかり知らないところでしたふが、BSAにばれました。多額の正規ライセンスの購入交渉に入っています。かってに割れ物をDLして、会社には数百万円の損害を出したタイ人社員の処遇について悩んでいます。

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